肝臓・肝機能障害の治療ガイド

-茵ちん蒿湯(いんちんこうとう)-

茵ちん蒿湯(いんちんこうとう)の効能

肝炎、特に黄疸のある時によく用いるもので、胸苦しく、口がかわき便秘して頭に汗をかく、尿量が少なく、食後にめまいがするような方に用います。比較的体力のある人向けです。

黄疸、便秘、吐き気、みぞおち付近の膨満感、尿量減少などの症状がある肝炎、肝硬変に用いられます。


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適応される症状

慢性肝炎

のどや口の渇き

じんましん

配合生薬

配合生薬の効能

茵ちん蒿(いんちんこう)

茵ちん蒿には肝機能の改善作用や利胆、抗炎症作用があり、主に黄疸の治療に用いられます。その他、尋麻疹やむくみなどにも効果があります。

これらの効果は、有効成分のキャピラリシンや、スコパロンの胆汁分泌促進作用によるものです。またスコパロンは、胆嚢(たんのう)ならびに胆管末端部の平滑筋を弛緩させます。

抗炎症作用は、有効成分のエスクレチンやスコパロンによるものです。

民間療法として、皮膚のかゆみに茵ちん蒿の濃厚な煎液で拭くと、効果があるといわれています。

山梔子(さんしし)

山梔子は消炎、利胆、止血作用があります。漢方では黄疸、肝炎、血便、血尿、吐血、不眠の治療に用いられます。有効成分はゲニポシド、ゲニピン、クロシン、クロセチンなどです。

クロシンやクロセチンには、胆汁分泌促進作用があります。また、この生薬に脂質代謝改善効果がみられるのは、ゲニピンのLDLコレステロール低下作用と、クロセチンの血中コレステロール低下作用によるものです。

胃腸薬に適用されるのはゲニピンの胃酸分泌抑制作用、鎮痛作用および瀉下作用(便通を良くし便秘を解消する作用)によります。ゲニポサイドおよびゲニピンには、記憶障害の予防効果が期待されています。

大黄(だいおう)

大黄は瀉下(下剤)、消炎性健胃薬として、常習性便秘症に使用されます。

ジアンスロン成分であるセンノサイドA-Fに瀉下作用が認められます。センノサイドA-Fは腸内細菌によって強い瀉下活性を示すレインアンスロンに変換されるからです。

フェノール配糖体の一種リンドレインには消炎、鎮痛作用が認められています。またタンニン成分に、血中尿素窒素(BUN)低下作用が報告されていることから、腎不全改善効果も期待されます。

漢方では、特に実証の人(体力がある人)の便秘薬として他の生薬と配合して高い効果をあげていますが、大黄には子宮収縮促進作用や骨盤の充血増長作用があるため、産前、産後や月経期間中は使用しない方がいいです。

漢方薬の使用上の注意

漢方薬の副作用

肝機能障害に処方されるその他の漢方薬

実証

中間証

虚証


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漢方薬は、自分の証に合ったものをお選び下さい。

「証」とは体力、体質、症状などから患者さんの状態を総合的に観察した診断結果のことです。

  • 実証は生理機能が高まった状態を意味して、外見は健康そうに見えます。
  • 虚証は体力がなく、生理機能が衰え、抵抗力も低下した状態を意味します。
  • 中間証は実証または虚証のどちらも偏らず、それぞれの特徴を半分ずつもつ場合を意味します。

「証」の判定は証の自己判定テストご利用ください。


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