肝臓・肝機能障害の治療ガイド

-漢方薬の解説-

漢方薬の服用方法

漢方薬が粉末か顆粒薬の場合、まず口に入れてあとから水を飲んでもよいし、薬を温湯に溶かしてそれを飲んでも同じことになります。

煎じた漢方の薬液を飲む場合は、できればあまり冷めないうちに飲むほうがよいでしょう。余った煎液にはフタをして次回に飲みます。夏など室温が高いと煎剤が夕方には多少味が変わることがありますから、冷蔵庫に入れておくほうがよいでしょう。ただし、飲むときにはあまり冷えた液は好ましくありませんし、氷を浮かした水で飲むのもよくありません。また煎液は、毎日つくって飲んだほうが良いです。

漢方薬の服用時期

漢方薬の服用の時期ですが、多くの漢方薬は食前に飲むことになっています。しかし漢方薬を飲むと胃が悪くると訴える患者さんが少なくありません。特に地黄、当帰、葛根などを含む方剤ではそういう訴えが多いいです。このような方は、食後30~40分の胃にまだ食物がある間に漢方薬を飲んでみましょう。漢方薬の服用は食前、食後にこだわることはありません。

漢方薬服用後の注意点

お茶はタンニンを含みますので、食後にお茶を飲まないか、どうしても食後お茶を飲みたい方は、漢方薬を食間に飲みましょう。

また、麻黄(まおう)は中枢興奮作用をもつエフェドリンを含んでいるため、人によっては麻黄が入った漢方薬を飲むと寝つきが悪くなることがありますので、麻黄が入った漢方薬は就寝4時間以上前に飲みましょう。

漢方薬には効果は似ていますが、各人ごとの副作用が異なるものがありますから、あまり効かなかったり、副作用が出たり、においをかいだだけで吐き気がしたりするような場合には遠慮なく医師に申し出て、薬を別のものに変えてもらいましょう。


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漢方薬の主な副作用

漢方薬にも副作用はありますが、程度の軽いものが多く、やめれば治まります。漢方薬の副作用として発疹が多いいです。しかし、ほとんどが服薬をやめれば止まり、重篤なものはありません。

このような皮膚の発疹がなぜ起こるか、完全にはわかっていませんが、アレルギー性のものが多数を占めていると推測されます。服薬後万一発疹が出たらすぐに医師に申し出て、漢方薬を変えてもらいましょう。

甘草(かんぞう)の副作用

甘草をくりかえし服用しますと、副腎皮質ホルモンの分泌を増加させ、また血中カリウムの減少をきたします。そのため、顔が丸く腫れたり、手足に浮腫(むくみ)が出たりします。

この副作用は、漢方薬の一種類を飲んでいる程度ではまず起こりませんが、甘草は多くの漢方薬の中の構成生薬として使われていますし、醤油などの調味料にも含まれていますので、甘草を含んだ漢方エキス剤などを、三種類以上も同時期に服用していると、このような症状が出るおそれがあります。

一般的にいって一日分の漢方方剤の中に含まれる生薬としての甘草の総量が10グラムまでであれば、まず安心してよいとされています。

瞑眩(めんげん)について

漢方薬の副作用として困る問題に瞑眩という現象があります。これは漢方薬服用中、急に苦しくなったり、吐いたり、出血したり、症状が悪化してりなどの不快症状が出現することを意味しています。

ただしこれは副作用ではなく、薬に対する一時的な反応であって、引き続いてその薬を使っているとそのような症状とともに病気も治ってしまう場合をいいます。瞑眩と副作用の鑑別をどのようにしてやるかは、難しいことだと思いますので、このような場合も医師に申し出て、漢方薬を変えてもらいましょう。

その他の漢方薬の副作用に対する注意

  • 抗生物質を飲むと腸内細菌に影響して、漢方薬の効果が変化することがあります。西洋薬やサプリメントは もちろんのこと他の漢方薬との併用は、医師とよく相談してください。

  • 西洋薬と同様に漢方薬も妊娠した婦人には、その使用を十分慎重にする必要があります。妊婦への投与が望ましくない生薬は紅花(こうか)牛膝(ごしつ)桃仁(とうにん)牡丹皮(ぼたんぴ)などです。

  • 附子(ぶし)それ自体有毒な成分を含んでいる生薬が入っている漢方薬の場合は、医師に相談して自己判断で使うことは、やめてください。

  • 「証」に合った漢方薬を飲めばよく効く半面、「証」に合わない薬を飲めば効かないことはもちろん、とき には症状が悪化することもあります。

    注意:「証」とは体力、体質、症状などから患者さんの状態を総合的に観察した診断結果のことです。)

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それぞれの質問に点数をつけてください。点数の合計点でおおよその自分の証がわかります。

5=よくあてはまる 4=かなりあてはまる 3=どちらかというとあてはまる 
2=どちらかというとあてはまらない 1=あまりあてはまらない O=あてはまらない

合計101点以上 実証

合計51~100点 中間証

合計50点以下 虚証

 1  がっしりした体格で筋肉が硬い  5  4  3  2  1  0
 2  いつも元気である  5  4  3  2  1  0
 3  肩がいかっている  5  4  3  2  1  0
 4  首が太い  5  4  3  2  1  0
 5  指が太い  5  4  3  2  1  0
 6  顔は赤みが多く、脂ぎっている  5  4  3  2  1  0
 7  目は生き生きして力がある  5  4  3  2  1  0
 8  声は太くて大きい  5  4  3  2  1  0
 9  歩き方がしっかりして力強い  5  4  3  2  1  0
 10  胃腸が丈夫である  5  4  3  2  1  0
 11  便秘がちである  5  4  3  2  1  0
 12  下剤を使っても腹痛はなく、気持ちが良い  5  4  3  2  1  0
 13  冷たい食べ物のが好き  5  4  3  2  1  0
 14  苦い食べ物が平気だ  5  4  3  2  1  0
 15  疲れがすぐに取れる  5  4  3  2  1  0
 16  腹部を押すと弾力性があり、厚みがある  5  4  3  2  1  0
 17  おへそが深くて大きい  5  4  3  2  1  0
 18  動作が機敏である  5  4  3  2  1  0
 19  髪の色つやがいい  5  4  3  2  1  0
 20  脈に充実感があり力強い  5  4  3  2  1  0
 21  あごが張って顔が角ばっている  5  4  3  2  1  0
 22  のぼせやすい  5  4  3  2  1  0
 23  怒りっぽい  5  4  3  2  1  0
 24  食欲が旺盛  5  4  3  2  1  0
 25  のどが渇くとすぐに水分をとる  5  4  3  2  1  0
 26  汗っかきである  5  4  3  2  1  0
 27  風邪など急性疾患にかかったとき、口のなかや舌が乾燥する  5  4  3  2  1  0
 28  爪の色が赤みかかっている  5  4  3  2  1  0
 29  病気にかかりにくい、かかっでもすぐに治る  5  4  3  2  1  0
 30  皮膚は光沢があり、つやがいい  5  4  3  2  1  0

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