肝臓・肝機能障害の治療ガイド

-肝臓がんのラジオ波治療-

肝臓がんのラジオ波治療

肝臓がんのラジオ波治療

肝臓がんを切らずに治す「ラジオ波治療」は、おなかに針を刺して電気の熱でがんを焼く方法で、3センチ以下の小さながんなら、手術と変わらない成績を上げています。ただ、熱で周りの臓器を傷つけるなどの事故も起きており、長所と短所をよく理解して治療を受けてください。

肝臓がんのほとんどは、C型肝炎やB型肝炎が原因で、肝機能が低下する肝硬変が進むことで起きます。再発しやすく、治療を繰り返すことが多いので、体に負担の少ない治療が重要になります。ラジオ波治療は、手術に比べ、体への負担が格段に少ないのが特長です。

高周波発生装置とコードでつないだ長さ20センチほどの電極針を、超音波検査の画面を見ながら肝臓に刺します。はがき大の電極板を太ももに張り、電極針との間に電気を流すと、表面積の小さい電極針の周囲だけが高温に熱せられる仕組みです。

1個のがんを焼くのにかかる時間は、10~15分間です。肝臓の表面は痛みを感じるため、治療中は痛み止めの薬を点滴します。数日後にCT検査を行い、がんが残っていないかどうか調べます。1週間ほど入院する必要があります。


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その他の針を刺す肝臓がん治療

おなかの外から肝臓に針を刺す治療には、ラジオ波のほかに、アルコール注入とマイクロ波治療があります。

アルコール注入は、高濃度のアルコールでがんを死滅させる簡便な方法です。比較的細い針を使うので出血も少なく、安全性は高いです。ただ、注入したアルコールが拡散し、がんの部位にとどまらないことがあり、確実性に欠けます。

マイクロ波は、ラジオ波と同様に熱でがんを焼くため、確実性が高いです。ラジオ波が電熱器なら、マイクロ波は電子レンジのように高周波を針先から発生させます。ただ、焼ける範囲はやや狭いです。

針を刺す治療の9割はラジオ波で行い、がんが肝臓の表面に近く、周囲へ熱が及ぶ危険がある場合はアルコール注入治療、といった使い分けがされています。

肝臓がんの治療法は、がんの大きさや数、肝機能によって選択されます。肝機能が比較的良ければ、がんが大型でも1個なら、一般に手術の対象になります。ラジオ波治療の対象は、3センチ以下が3個以内」と、がんがやや小さいことが条件です。

虎の門病院の場合、肝臓がん治療のうち、手術が2割、ラジオ波など肝臓に針を刺す治療が4割ほどです。残りは、がんが大きい、肝機能が悪い、などの理由で、「がんに栄養を運ぶ血管をふさぐ」「抗がん剤を動脈から直接注入する」といった治療になっています。


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関係医療機関

虎の門病院

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