肝臓・肝機能障害の治療ガイド

-肝硬変の亜鉛補充療法-

肝硬変の亜鉛補充療法

肝硬変の合併症「肝性脳症」

肝臓は、体に有害な老廃物のアンモニアを無害の尿素に変えます。この代謝が不十分だと、アンモニアが体内にたまり、神経を傷めて意識障害を起こします。これが肝性脳症で、肝臓が著しく弱っている肝硬変の患者がしばしば起こす合併症です。

アンモニアの代謝を促すのは、肝細胞の中にある「OTC」という酵素です、この酵素は、金属元素の亜鉛がなければ十分に働きません。亜鉛は食物中に微量含まれ、不足すると肝硬変から肝性脳症を招くことがわかってきました。

肝硬変患者は、健康な人より、血液中の亜鉛濃度が約30%低く、小腸が弱って食物中の亜鉛を十分に吸収できないことや、肝臓で亜鉛をため込む力が落ちていることが原因とされています。


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肝硬変の亜鉛補充療法

大阪厚生年金病院で、血液中の亜鉛濃度が基準値を下回る肝硬変患者に、亜鉛を補う治療を試みています。

亜鉛不足の肝硬変患者約30人を対象に、アミノ酸を投与する従来の治療と、これに硫酸亜鉛を併用する治療を比較したところ、3ヵ月後に血中のアンモニア濃度は、従来の治療では上昇したのに対し、併用治療では約20%下がりました。

亜鉛を過剰にとると、胃腸障害や吐き気などの副作用を起こす可能性があります。これを防ぐため、血液中の亜鉛濃度を測定します。

肝硬変になると、肝臓は正常には戻らないがこの治療で、病状の悪化を抑えることができると考えられています。


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関係医療機関

大阪厚生年金病院

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